2024/07/30 16:19
有料プラスチック袋と無料プラスチック袋の違いとは・・・?
という疑問から綴りはじめた【スタッフコラム】プラスチックに関して No. 1 〜プラスチック袋の種類についてのお話し〜。
前編はスタッフが感じているモヤモヤ、文化、有料化対象の基準などを少しお話ししました・
下の図は有料化対象の袋に関する経済産業省のガイドラインです(2020年7月1日~)
【海洋生分解性プラスチック】
①は前編に記載したのでここでは省くことにします。
では ② と ③ は一体どんなものなんでしょうか。
② は海中(言い換えれば街中で収集されなかったものが川を経て流出する場所)の微生物によって分解され最終的には水と二酸化炭素になるプラスチックのこと。
[30℃の水温]で[6ヶ月以内]に[90%以上分解する]こと、という厳しい世界基準を満たしたものを指します。
しかし問題は流れ出てしまったものが30℃の海に留まるとは限らず、海底の泥を被ってしまった時には酸素も届かず微生物の種類も異なるため、分解されにくくなってしまします。
いくら100%分解されるから問題ない!と言っても、実際にはこの狭き条件が揃わなければ海を漂い続け、生物が住む環境を汚しマイクロプラスチックとなり残り続ける、ということになります。
【バイオプラスチック? バイオマスプラスチック? 生分解性?】
上記のように微生物によって分解される「生分解性プラスチック」。
これと切っても切り離せない「バイオプラスチック」そして③の「バイオ'マス'プラスチック」という単語。
プラスチック袋を調べていると良く出てくる間違い探しのような単語たち。
正直違いを理解していなかった私です。この機会に調べてみました。
「生分解」「バイオ」と聞くと、どれも環境に良い成分で作られているのだろう、という印象がありましたが、全くの無知でした。
確かに環境に配慮されて作られていますが、「環境に優しい」部分が全く別のものでした。
調べてみるものですね・・・
〈 バイオプラスチック 〉
「バイオプラスチック」というのは「生分解性プラスチック」と「バイオ'マス'プラスチック」を含めた、生き物に関係し作られた全てのプラスチックを指す総称です。
上記② の海洋生分解性プラスチックも「生分解性プラスチック」の一種ということになりますが、海に限らず土の中でも分解され自然にかえるもののことを言います。しかしこちらも結構な条件が必要で、「生分解性プラスチック」を高温にし、微生物が分解できるような環境を整えるなどしないと分解は難しく、単に土に埋めたりしても短期間では分解されないそう。
〈 バイオ'マス'プラスチック 〉
では「バイオマスプラスチック」とはなんでしょう?
こちらはトウモロコシやサトウキビのような植物由来の素材からできているものを指します。
「マス」が付いてる付いてないでこんなにもモノが違うんです。
こっちの方が環境に良さそう!な響きですが、植物由来だからといって土に還るわけではなく、焼却させるしか処分できません。
なぜこれがプラスチック袋有料化の対象外なのか。
それはバイオマスプラスチックは燃やしても「カーボンニュートラル」だから、という理由からなんです。
はて、カーボンニュートラルとは?となりますよね。
バイオマスプラスチックも焼却する際には二酸化炭素が排出されますが、もともとは植物由来のプラスチック。
素材である植物が育つ段階で同量の二酸化炭素を吸収してくれるため、プラスマイナス0になる、という考え方をカーボンニュートラルと言います。
プラスチックゴミ削減というよりも、地球温暖化に貢献するという理由から有料化対象外となっているようです。
確かに環境問題解決の一歩な気もしますが、有料対象外ガイドライン③では「バイオマス素材の配合率が25%以上のもの」とあり、残りの75%はなんの原料でも構わないということになります。
さらに、燃やせなければ永久に存在するということになります。
結局はこちらもしっかりと処分されない限り、マイクロプラスチックを生み出してしまう、さらには二酸化炭素をも増やすことになります。
【いいとこ取りのプラスチックは・・・?】
ではでは上の図の黄色部分、双方の特徴を持つ「生分解性バイオマスプラスチック」はどうなのか?
石油を使わず、植物由来で、かつ短時間で微生物によって分解される万能プラスチックが1番では、と思います。
しかしこれも一筋縄ではいかないようで、バイオプラスチックとはいえ往来のプラスチックと同じように添加剤を必要とすることもあるそう。
そして現在ではまだ半透明のバイオプラスチックしかないため、用途が限定的になってしまう、またコスト面でも通常よりもかかってしまう、ということが今の懸念点ということでした。
残念ながらまだまだ開発途上ということになります。
【プラスチックと共に現代を生きるには】
「バイオ」だから、有料化対象外だから、100%環境に優しい、というわけでは無いということがわかりました。
近年さらに問題視されているプラスチック生産量と廃棄量をどうにか減らしたい。
しかし同時に「持ち運びできる袋がないなら買うのをやめる」という消費者が出てきてしまい経済が循環しなくなる可能性や、お店側からしてみれば「せっかく商品を買ってくれたお客さんに気持ちよく買い物を楽しんでもらいたい」というおもてなしの心もあり、無料・有料のガイドラインができたのではと解釈します。
このプラスチック袋有料化によって、少しずつですが、まずは普段の生活から出るプラスチック消費量に関して意識を向けるという第一歩が広がっているのではないかとも感じます。
有料化に切り替わるタイミングにはメディアからのBee Eco Wrapに関する問い合わせも以前と比べて圧倒的に増えたこともかなり大きな一歩だったと感じます。(問題解決に追いついていない部分を見直す必要が大いにありますが・・・)
医療現場や衛生管理が必要な場面ではプラスチックの使用が不可欠ですし、私たちの日常でもプラスチックの方が理にかなう場面もたくさんあるのは事実です。
だからこそ、無駄を省き、必要な時に必要な量だけを使うことへの意識と重要性が問われていると感じます。
今回調べてみて、無料配布のガイドラインをクリアしたプラスチック袋も、適切に管理された処分方法でなければ最後には自然汚染に繋がる可能性があるということがわかりました。
お金を払うよりもエコバックを持つ、ということも一つのとっかかりだと思います。
しかし冒頭で書いた通り、「袋 in 袋」といった過剰なまでの梱包、プラスチックの使用方法そのものや廃棄量を疑問に思い、減らす努力をしないといけないと強く思います。
自然界に流れ出るのをいかに食い止めるか、消費量をどれだけ減らせるか、そもそもプラスチック袋をもらわない、または拒否する選択をして、実行する。
そして、むやみやたらに配らないことや必要最低限の使用量で抑えるなど、供給側からの働きかけも今こそ必要だと改めて感じました。
まずは次のお買い物から、意識とモノの見方を少し変えていただけたら嬉しいです。
[参考メディア]
経済産業省